車椅子利用者とクレーマー問題。
障害者差別を解消する流れがある中で、まだまだこの議論は続いています。
その背景として、一部の車いすユーザーのクレーマー気質な行動が目立ってしまうから。
・熱海乗車拒否事件
・バニラエア搭乗事件
・映画館お断り事件
などなど、障がい者と企業の接点に関して、色々なテーマで昔から議論があるのが実態です。
ただ、障がい者をクレーマー扱いして、社会全体で責めるのは絶対NGです。
本記事では、車椅子利用者とクレーマー問題について徹底解説していきます。
この記事で分かること
- 車椅子利用者で悪質クレーマーと言われた事例【イオン映画館】
- 車椅子利用者を一括りにクレーマーにしてはいけない
- 車椅子利用の中で一定数悪質クレーマーが存在する理由
車椅子利用者で悪質クレーマーと言われた事例【イオン映画館】

まず最初に、車椅子の悪質クレーマー事件でよく話題に上がる事例を紹介します。
それが、「車椅子インフルエンサー」として活動する中嶋涼子さんの騒動です。
騒動のポイントは以下の通りです。
なお、この事件に関しては、以下の「ゆっくり解説」も参考にしてください。
車椅子インフルエンサー中嶋涼子さんとは?
中嶋涼子さんは、車椅子インフルエンサーとして活動しているネットタレントです。
9歳の時に風邪を引いた1週間後に突然歩けなくなり車椅子生活を開始します。
趣味は映画鑑賞です。
自身の活動については、Youtube等に動画をアップしています。
中嶋良子さんのYoutube動画↓
イオンシネマに映画館を出禁にされたとXで告白
今回のことの発端は、中嶋涼子さんのXの投稿でした。
その投稿がこちら↓
Xの全文は以下の通りです。
久々に悔しい気持ちになった。
Xより引用
今日は映画「#52ヘルツのクジラたち」を見てきたんだけど、トランスジェンダーの人が生きづらさを抱え差別を受ける話で辛すぎて発作起きるくらい泣ける映画だったんだけど、その後更に泣ける事があった。
ちょうどいい時間の映画がイオンシネマのグランシアターっていうちょっとお値段張るけどリクライニングできて足があげられるプレミアムシートがある豪華な劇場で4段の段差がある席しかないところで見たんだけど、今まで何度もその劇場に一人で見に行って映画館の人が手伝ってくれてたのに、今日は見終わった後急に支配人みたいな人が来て急に
「この劇場はご覧の通り段差があって危なくて、お手伝いできるスタッフもそこまで時間があるわけではないので、今後はこの劇場以外で見てもらえるとお互いいい気分でいられると思うのですがいいでしょうか。」
って言われてすごい悲しかった。。
「え、でも今まで手伝って頂いて3回以上ここで見てるんですが?」
って言ったら、他の係員に聞いたところそう言った経験はないとおっしゃっていまして、ごめんなさいって謝られて、なんかすごく悔しくて悲しくてトイレで泣いた。
「52ヘルツのクジラたち」のトランスジェンダーでやり場のない悲しさを抱える主人公と重ね合わせて余計泣いたw なんでいきなりダメになるんだろう! 悲しさを通り越して今は行き場のない怒りに変わってきた。 その時に言い返せなかった自分にも腹が立つ。 イオンシネマの社長と話し合いたい。
一言でいうと、出禁ってことになりますね。
これだけ見ると、イオンシネマ側がかなり悪いように思えます...
最上級劇場グランシアターについて
今回この騒動が炎上になった大きな理由。
それは、中嶋さんが使用していた劇場です。
この時中嶋さんは、「最上級劇場グランシアター」という劇場を使用していました。
しかしこの劇場、階段を使わないと上の席には移動できません。
また、車椅子専用のシートというわけでもありません。
もし中嶋さんがこの劇場で映画を見る場合、職員さんの介助が必ず必要になります。
つまり、職員の負担の大きさから、映画館側は利用をお断りしたということです。
車椅子の人をサポートすることの難しさ
なお、車椅子をサポートすることに関しては、本当に難しいとされています。
特に段差がある場合のサポートは、本当に難しい。
そもそも、車椅子に人を乗せた状態で持ち上げるのは、職員にも危険が及びます。
また、乗っている中嶋さんもリスクです。
なんかあった場合、映画館のスタッフに責任なんて取れません。
ここが今回のポイントです。
従業員の介助ありきでないと見られないような劇場に来てしまった。
そして、それを理由に利用を断られたことをXに投稿してしまった。
この辺りが、「わがままな障がい者クレーマー」とレッテルを貼られた背景でしょう。
ネット上では中嶋さんをクレーマー扱いする声が多数
なお、今回の騒動に関しては、賛否の声というよりも批判の声が多数でした。
正直今回の件に関しては、ほとんどの方が批判的だと思います。
イオン側は従業員の安全面を考慮したと思います。
もちろん負担が大きいから断っているという理由もあるにはあるでしょう。
ただ、一般の映画館で障がい者用のシートはあります。
わざわざ「最上級劇場グランシアター」を使わなければいけないのか?と思う人が大半でしょう。
もちろん、障がい者が「最上級劇場グランシアター」を使っていけないとかはないでしょう。
ただ、利用する際に明らかにリスクがあるのなら、それは合理的差別とみなされるのでは?
今回の件に関しては、やはり中嶋さんが不利な状況だと思います。
イオン側は謝罪
なお、今回の件に関してはイオン側は中嶋さんと和解したようです。
結果的にはイオン側が謝罪することになります。
そのことを、中嶋さんも自身のXで報告。
ただ、この投稿にも批判コメントが多数寄せられていました。
車椅子利用者の中に一部悪質なクレーマーが存在する理由

障がい者とクレーマー問題は、正直今に始まった話ではありません。
正直なところ、障がい者であることを悪い形で利用し、クレーマーになる人が少なからずいます。
しかし、なぜこのようなクレーマーが誕生してしまうのでしょうか?
先天性の障がい者と後天性な障がい者
まず、障がい者の中には、先天性の障がい者と後天性の障がい者がいます。
この中でも、先天性の障がい者は生まれた時からすでに障がいを抱えています。
そのため、生まれた瞬間から周りのサポートが当たり前の環境で過ごしています。
よって、わがままな人がどうしても多くなりがちです...
一方、後天性の障がい者は途中までは健常者だった人です。
そのため、健常者の感覚も持っているため、感覚が普通な人も多いです。
ただ、これはあくまで傾向的な問題です。
そもそもこうやって分断して議論することがよくないですが、1つの性質として知られています。
合理的配慮の考え方の浸透
障がい者にクレーマーが増えた理由として、「合理的配慮」の考え方が挙げられます。
合理的配慮とは、改正された障害者差別解消法の中に書かれている文言の1つです。
合理的配慮とは、障害者が社会の中で出会う、困りごと・障壁を取り除くための調整や変更のことです。
例えば、障がい者の方が階段を上がれずに困っていたら、それを従業員が助けてあげる。
もし目が悪くてメニューの字が見えなかったら読み上げてあげる。
こんな風に障がい者に寄り添ったサービスを企業側に求める法律です。
こういった取り組みは良い側面ももちろんあります。
ただ、障がい者がよりわがままになるのでは?という指摘がないわけではありません。
今後もこのような傾向は進んでいくので、ますます注意しなければいけません。
車椅子利用者を一括りにクレーマー扱いしてはいけない

ここまで読むと、障がい者の身勝手なクレームというのが騒動の大まかな要約です。
ただ、ここで議論を極論に持っていくことはあってはなりません。
障がい者すべてがクレーマーではない
当たり前のことですが、本件を持って障がい者をクレーマー扱いするのは大間違えです。
世の中には健常者の中に、クレーマーでない人もいればクレーマーな人もいます。
当然ですが、障がい者の中でもクレーマーな人もいれば、そうでない人もいます。
今回の件で障がい者全体に変なレッテルを貼ることは絶対NGです。
障がい者の中にも今回の件を迷惑に思う人が大勢いる
正直なところ、今回の騒動で一番被害を受けたのはイオンです。
そして、その次の被害者はクレーマーではない障がい者の方々です。
障がい者の中には、本当に謙虚な方も大勢います。
そして、これ以上障がい者に対して悪いイメージを持って欲しくないと思っている人も大勢います。
Abemaの特集でもそんな感じでした↓
そんな中、今回の件では同じ障がい者の中にイメージダウンを誘発する人が現れてしまった...
普段生きづらさを感じている人を、これ以上苦しませることは絶対にあってはなりません。
総括:車椅子利用者が悪質クレーマーは偏見!イオン事件&障害者心理を解説
最後に、本記事のまとめを残しておきます。
この記事のまとめ
- 車椅子利用者で悪質クレーマーと言われた事例【イオン映画館】
- 中嶋涼子さんはイオンの映画館で「車椅子ユーザーは来ないで」と言われ、最上級劇場グランシアターでの観覧を要望。
- 中嶋さんが以前使用していた高い位置の席へのアクセスが障害され、イオンから出禁を告げられる。
- ネット上で中嶋さんがクレーマー扱いされ、イオン側が最終的に謝罪。
- 車椅子利用者の中に一部悪質なクレーマーが存在する理由
- 障害者の中には先天性と後天性の違いによる要求の違いがあり、特に先天性障害者にはわがままな行動が見られることがある。
- 「合理的配慮」の法的要求が、一部の障害者による過度な要求を助長している可能性がある。
- 車椅子利用者を一括りにクレーマー扱いしてはいけない
- 全ての障害者がクレーマーではなく、多くは謙虚に行動している。
- 障害者全体に否定的なレッテルを貼ることは不適切で、社会全体の理解と配慮が必要。
クレーマーに関しては、以下の記事でさらに詳細が分かります。
クレーマーの特徴・心理・対処法について総合的にまとめています。